まちの人に聞いて見た「あの風景、この味、お気に入り」。

名は体を表す。測量山から始めよう

仲嶋憲一さん

観光協会に勤務し、鉄のまち室蘭をPRする日々を送る仲嶋さんが、室蘭を歩く第一歩としておすすめなのが「測量山」からの眺め。海抜199.63mの測量山は、アイヌ語で「ホシケサンペ(=最初に見えてくる山)」と呼ばれ、アイヌの漁師が目印にしていた。その後、明治5年に札幌本通をつくる時にはこの山に登って見当をつけたことから「見当山」と呼ばれるようになり、さらに明治33年に測量の基点(一等三角点補点)となり「測量山」と改められた。
「前には室蘭の街並みや工場群が、後ろには噴火湾をはさんだ対岸の駒ケ岳などの山並みのパノラマが広がっています。夜になれば眼下の工場夜景、海の向こうには沿岸のまちの灯が漁火のように展開し、幻想的な景観を楽しめます」。なるほど、確かに室蘭の最初の着地点として行ってみたくなる場所だ。

もう一つ、仲嶋さんが室蘭歩きの途中でぜひ立ち寄ってほしいというのが「港の文学館」。ここは市立図書館の分館として、室蘭ゆかりの芥川賞作家3名の展示等、活字好きには見逃せないスポットだ。そもそも、1944年の八木義徳(「劉廣福(リュウカンフー)」)、1987年の三浦清宏(「長男の出家」)、そして2001年の長嶋有(「猛スピードで母は」)と、3名の芥川賞作家を輩出している室蘭はスゴイ。
「今でも室蘭では文芸サークルや俳句の会が活発に活動しています。そういう素地があるまちと言えます。文学館の2階にはカフェコーナーもあり、文学にふれながらゆっくりと過ごしてほしいですね」。

測量山から室蘭のまちを眺める。毎朝、山頂まで散歩することを日課にしている人もいるとのこと

港の文学館(北海道室蘭市海岸町1-1-9 入館料無料 月曜日・年末年始休館)

仲嶋さんが勤務する観光協会は旧室蘭駅舎の中にある。この駅も必見