「白い恋人」からはじめよう

北海道のお土産と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「白い恋人」だろう。製造元の石屋製菓は飴などの駄菓子が出発点。今年で販売40周年を迎えたお土産界の巨人について石水創社長にお話しを伺った。誰もが知るこのお土産の「へぇ~」も交えて改めて紹介する。
伊田行孝-text 黒瀬ミチオ-photo

社長に聞いた「白い恋人」のこと

石水創(いしみず はじめ)・石屋製菓株式会社 代表取締役社長

石水創(いしみず はじめ)・石屋製菓株式会社 代表取締役社長

――「白い恋人」は石屋製菓にとってどのような位置付けですか
石水 常に中心にあるものですね。売上も8割を占めています。そして、私にとっては創業者と二代目が生み育ててきたものなので、いつかは超えたいライバル商品でもあります。

――ここまで大きく成長した要因は何でしょうか
石水 お土産菓子としての完成度が高かったからだと思います。北海道をイメージさせるネーミングと味、食べやすさ、サイズ、配りやすさ、賞味期限の長さ、手ごろな価格という土産菓子としての商品性が全て揃っています。

チョコレートファクトリーでは「白い恋人」の製造ラインが見学できる

チョコレートファクトリーでは「白い恋人」の製造ラインが見学できる

――物産展などをのぞけば北海道内での販売に特化しています
石水 誰かにお土産を買うのは楽しいですよね。その人のことを思いながら、どれにしようと選ぶ。せっかくのお土産が地元にも売っていたらがっかりです。商品価値や存在意義を考えても、北海道から外には出さないことが大切だと考えています。

――2007(平成19)年には賞味期限の改ざんが起きました
石水 お叱りの声は今もいただきますし、その反省の上に今があります。問題が発覚した時は会社がつぶれると私を含めて多くの社員やご家族、お取引先が考えたと思います。製造と販売を再開した約100日後、以前の半分の需要と考えましたが、北海道のみなさまが真っ先に買ってくださいました。本当にうれしかったですね。

――北広島市に建設中の新工場について教えてください
石水 完成すると「白い恋人」や「美冬」、チョコレートは一部移転し、現在の宮の沢工場には「白い恋人」の見学用のラインとバウムクーヘンなどの焼き菓子、洋生菓子等の製造を残します。生産にゆとりも生まれるので、新商品も今まで以上に積極的に企画していけます。新工場は生産に特化し、宮の沢の「白い恋人パーク」はさらにワクワクしていただけるようなリニューアルを企画しています。

(提供:石屋製菓)

(提供:石屋製菓)

――インバウンドへの対応はいかがですか
石水 パーク来場数の約半分が海外からのお客様です。2020年の東京オリンピック、さらに札幌での冬季オリンピックの展望もあります。海外のお客様には、「白い恋人」は北海道のお土産ではなく、日本のお土産として買っていただいています。パークにおいてあるパンフレットは7カ国語。今後も、アテンドを含めて海外からのお客様に喜んでいただける展開を進めていく予定です。

白い恋人パークのローズガーデンでは四季折々の時間を過ごすことができる

白い恋人パークのローズガーデンでは四季折々の時間を過ごすことができる

――今後の課題は
石水 弊社は自家需要がまだ弱いと考えています。お土産菓子として多くのお客様からご支持いただいていることは大きな誇りですが、「白い恋人」の自家需要となると簡単に伸ばすことはできません。やはり、ご自宅用に喜んでいただける新商品を揃えていくことは課題です。そういう意味でも「白い恋人」は大きなライバルなのです。

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