まちの人に聞いて見た「あの風景、この味、お気に入り」。

絵鞆の夕陽を見ずに死ぬなかれ

村田正望さん

「室蘭市民でも絵鞆岬からの夕陽を見たことがある人は少ないんです。実にもったいない。驚くほどきれいですよ。工場夜景を見に多くの人が来ていますが、まず夕陽、その後に工場夜景というルートをおすすめします。絵鞆には縄文遺跡もあり、その時代の人たちも同じ夕陽を見ていたと思えば、美しさはさらにアップします」
絵鞆で生まれ育った村田さんにとって夕陽はいつも身近にあった。この絶景があまり市民にも知られていないのが惜しいと嘆く。円形校舎が美しい絵鞆小学校(平成27年3月閉校)もある。市街地から車で10~15分程度なので、足を伸ばしたいスポットだ。

あまり知られていないが室蘭は菓子店が多いまちでもある。中でも象徴的な菓子店が120年の歴史を持つ「富留屋(ふるや)」。ここで修業した多くの職人が独立して市内に店を構えたことでお菓子のまちの下地ができたともいえる老舗中の老舗。
村田さんが最近ハマっているのは「パイミー」という中華菓子。一見、小さなせんべいに見えるが、ほのかな辛さも感じられ、確かにクセになる味だ。

そして、村田さんの経営する会社が入居する建物も見逃せない。この建造物はかつての旧三菱合資会社室蘭出張所で、築100年を超える木造洋館だ。村田さんは取り壊しの危機にあったこの洋館を保存するために「一般社団法人 むろらん100年建造物保存活用会」を組織し、賛同してくれた有志4名とともに土地・建物を買い取った。
「室蘭開港の地に残る、まちの記憶を発信する場所です。ぜひ立ち寄ってください」。屋内には村田さんが制作したキャンドルのショップも。

夕陽・菓子・建造物。無関係なようでいて、土地の歴史という線でつながっていた。

室蘭は噴火湾の中にある小さな半島状のまちのため、夕陽も市街地からと噴火湾に開いた場所からではまったく見え方が違う(写真提供:室蘭観光協会)

パイミー(写真中央/16包入・税込346円)

旧室蘭駅舎から白鳥大橋に向かうと左手に100年を経た建造物が見えてくる

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