日本の朝とつながる根室海峡
霧につつまれた夏の根室海峡には、どこか寂寥感が漂います。左の知床半島と右の根室半島、正面に横たわる国後島も白いカーテンの向こうに隠れています。
日本の最東北のこの地はしかし、はるか昔から世界への玄関口としての役割を担ってきました。豊かな自然資源を求めて多くの人々が海を渡り、島々を伝ってやってきました。
中でも根室海峡の鮭は、時を超え人々を魅了してきました。1万年前から続く人の営みや、繰り返された異文化の衝突と交流。この地の歴史は、鮭という豊かな天然資源をめぐり織り成されてきました。江戸時代にはすでにブランドとして確立され、将軍家にも献上された根室海峡の鮭。
幕末に一人の会津藩士がこの資源に着目し、水産業の芽を育てます。そして現在、その芽は全国の日々の食卓とつながる基幹産業へと成長してきました。
根室海峡沿岸は鮭に笑い、鮭に泣いた人々の歴史と文化、そして誇りがあふれた「鮭の聖地」です。