「鮭の聖地」を学ぶ7つの場所へ

別海町郷土資料館・加賀家文書館の展示。松浦武四郎から当地の「すじこ」を所望する書簡も展示されている。学びのスポットを巡ることで、根室海峡沿岸の鮭を基軸にした1万年の歴史と暮らしが見えてくる

「鮭の聖地」の物語を知ったなら、今度はその舞台を訪れてみたい。根室海峡沿岸に点在する関連文化施設では、1万年にわたる物語をさまざまな角度から伝えるモノたちが待っている。この地に人が定住し始めた縄文時代へ、蝦夷地でアイヌに寄り添った男の人生へ、私たちを魅了し続ける鮭の世界へ、飛び込んでみよう。
新目七恵-text 伊藤留美子-photo

標津町ポー川史跡自然公園


国指定史跡「伊茶仁(いちゃに)カリカリウス遺跡」、国指定天然記念物・標津湿原、開拓の村と歴史民俗資料館の3エリアで構成された北海道最大級の野外博物館。入口にあるビジターセンター館内では、「標津番屋屏風」のレプリカやタブ山チャシを再現した町民手作りのジオラマなどを展示。雄大な自然の中に竪穴住居跡が無数に残る遺跡の光景を見ると、この地に暮らした人々の存在を確かに感じることができる。


北海道標津郡標津町字伊茶仁2784番地 
TEL:0153-82-3674
開園時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
開園期間:4月29日~11月23日
休園日:開園期間中無休
入園料(環境保全協力金):一般330円、大学生・高校生110円、中学生以下無料 ※ビジターセンターは無料
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標津サーモン科学館


生態から歴史、食文化まで、鮭のすべてが分かる水族館。サケ科魚類展示種類数では国内最多となる、世界の仲間18種30種類以上を展示。標津川とつながる「魚道水槽」では、2~6月には稚魚の群泳、9~10月には遡上、11月には産卵行動といった季節ごとの鮭の様子をガラス越しに観察できる。体験・参加型プログラムも多く、中でも人気の「チョウザメの指パク体験」はここならではの取り組み。巨大イクラのオブジェが乗ったタワーが目印。


北海道標津郡標津町北1条西6丁目1番1-1号 標津サーモンパーク内
TEL:0153-82-1141
開館時間:9:30〜17:00(入館受付は16:30まで)
休館日:5~10月は無休、2~4・11月は水曜日。※12・1月は休館
入館料:一般610円、70歳以上500円、高校生400円、小・中学生200円
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野付半島ネイチャーセンター


日本最大の砂嘴・野付半島の自然や歴史に関する情報拠点。江戸時代に存在した野付通行屋の紹介パネルが2階にあり、支配人を務めた加賀伝蔵に関する記述も。通行屋跡から出土した皿や茶碗は、今や野鳥や花の楽園とされるこの場所が、かつて国後島とその先の世界へつながる出入口だったことを物語る。別海町の「加賀家文書館」と併せて見学すると、野付の歴史が立体的に理解できる。ちなみに、1階売店では標津町特産の鮭節などを販売。


北海道野付郡別海町野付63番地
TEL:0153-82-1270
開館時間:4~10月は9:00~17:00、11~3月は9:00~16:00
休館日:12月30日~1月5日
入館料:無料
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別海町郷土資料館・加賀家文書館


加賀の国(石川県)出身で、5代にわたり蝦夷地の釧路・根室地方で働いた加賀家の古文書資料を収蔵・展示。15歳で蝦夷地に渡ってから50年以上通辞(アイヌ語通訳)として活躍し、松浦武四郎とも交流した3代目・伝蔵(1804~74)に関する資料が中心で、彼の絵図や記録から当時のアイヌの人々の暮らしぶりを知ることができる。野付通行屋と漁場の一部をジオラマで再現したコーナーも目を引く。「別海町郷土資料館」に隣接。


北海道野付郡別海宮舞町29番地
TEL:0153-75-2473
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:第2・4月曜、第1・3・5土曜、祝日、年末年始(12月29日~1月6日)
入館料:(別海町郷土資料館と共通)一般300円、高校生以下無料
WEBサイト 
 

中標津町郷土館


緑豊かな丸山公園内に位置。町民から寄せられた生活道具や写真などを展示し、根釧原野の開拓拠点として発展した町の歩みを紹介。町指定文化財第1号「蛙意匠の土器」をはじめ、縄文時代の土器も収蔵する。一方、農機具などを展示する「緑ヶ丘分館」は国の登録有形文化財・旧北海道農事試験場根室支場陳列館を活用しており、酪農の町の歴史が建物ごと体感できる。10月5日(土)には音楽と珈琲が楽しめる「オータムフェスタ」を開催予定。

 
北海道標津郡中標津町丸山2丁目15番地
TEL:0153-72-2190
開館時間:9:00〜17:00 ※10月は16:00まで、11~2月は10:00〜16:00、3・4月は10:00〜17:00
休館日:月曜(休日の場合はその翌日)、年末年始
入館料:無料
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中標津町郷土館緑ヶ丘分館(旧北海道農事試験場根室支場陳列館)
北海道標津郡中標津町丸山4丁目3番地
TEL:0153-72-2190
開館時間:土・日曜、祝日の10:00~16:00(5~10月)
休館日:月~金曜 ※申し出があれば平日も開館可能
入館料:無料
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羅臼町郷土資料館


羅臼町内にあるオホーツク文化、トビニタイ文化の各遺跡から発掘された出土品などを通し、先史時代から北方民族が行き交った町特有の歴史と文化を伝える。特に、国重要文化財・北海道松法(のり)川北岸遺跡から発掘された炭化した木製品の数々は、海洋漁猟民族・オホーツク人の生活実態を知る貴重な手掛かり。明治以降の開拓道具や写真、動物の剥製、昆虫標本、羅臼ロケ映画「地の涯に生きるもの」など多様な資料も収蔵・展示。

 
北海道目梨郡羅臼町峯浜町307-1
TEL:0153-88-3850
開館時間:9:00〜17:00
休館日:土日、祝日、年末年始 ※夏期(7~9月中旬)は無休
入館料:無料
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根室市歴史と自然の資料館


ロシア初の遣日使節アダム・ラクスマンの根室来航に関する資料や、樺太(サハリン)に置かれていた国境標石など、江戸から明治の日ロ外交史に関する資料を展示。また、道指定有形文化財の土偶(縄文時代後期)、オホーツク文化期の貴重な考古資料が並び、シマフクロウやラッコの標本など地域の自然資料も豊富。建物は昭和17(1942)年、大湊海軍通信隊根室分遣所として建設されたもので、太平洋戦争後は花咲港小学校の校舎としても利用されていた。(写真提供:根室市歴史と自然の資料館)

北海道根室市花咲港209番地
TEL:0153-25-3661
開館時間:9:00~16:30
休館日:月曜(月曜が祝日の場合はその翌日)、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
入館料:無料
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