個性的なお土産が揃う穴場! ミュージアム・ショップ

北方民族博物館で、お土産を買う

北海道立北方民族博物館(網走市)のミュージアム・ショップは、ひそかな人気おみやげスポットだ。スペースは小さいながら、北に生きる人々の生活から生み出された、ほかではなかなか手に入らない物が勢揃い。おみやげを買いに博物館へ…いえ、展示を見てから、ぜひチェックを!
柴田美幸-text 伊田行孝-photo

ロシアに暮らすコリヤークのビーズ刺繍がついた革製ペンケース(7600円)、財布(3400円)など。ビーズ刺繍の部分は、コリヤークのタチアナさんという作り手が制作し、革の部分は日本製。博物館と共同で開発したオリジナル商品

網走市内の天都(てんと)山には、3つの博物館がある。「網走監獄」「オホーツク流氷館」、そして道立の「北方民族博物館」だ。
北方民族博物館は、北緯40~45度以北に住む民族を対象に、研究・資料展示を行っている。たとえば、現在のロシアに多くが暮らすウイルタ、ニブフ。北アメリカ大陸の北西海岸インディアンや、北欧地域のサミ。アイヌは北海道アイヌが大半だが、サハリンアイヌなど、ほかにも多様な民族が北の地に暮らしている。
彼らが生活で使う伝統的な道具には、高い技術で特徴的な文様が彫られたり刺繍されたりなどし、工芸品としての価値が見出されることも多い。なかには、デザインとしてかわいらしい、また、かっこよさを感じる物もある。

ウイルタの刺繍サークル「フレップ会」による手提げバッグ(3500円)やトレー(3000円)など。入荷するとすぐ品薄になるほどの人気商品

ウイルタの刺繍サークル「フレップ会」による手提げバッグ(3500円)やトレー(3000円)など。入荷するとすぐ品薄になるほどの人気商品

北方民族博物館のショップが扱うのは、それら民族の手仕事の技術やデザインを取り入れて作られた、魅力的な品々だ。たんに見た目だけでなく、現地の人が手をかけているか、既製品の場合は、民族のデザインとして商標登録された正式なグッズか等を判断し、厳選している。
特に、現地の人に依頼し博物館と共同で制作しているグッズは、ここでしか手に入らない。手仕事で作られた物の多くは一点物。運命の出会いが待っているかもしれない。

feature_vol33_museum_ph02

カナダに暮らす北西海岸インディアンの文様が入った、セラミック製マグカップ(1300円)と、デカールシール(630円)。一族を表す動物の文様をモチーフとしており、デザインの権利は厳しく管理されている。シールはボーダーに大人気

カナダに暮らす北西海岸インディアンの文様が入った、セラミック製マグカップ(1300円)と、デカールシール(630円)。一族を表す動物の文様をモチーフとしており、デザインの権利は厳しく管理されている。シールはボーダーに大人気

博物館のショップで扱う物の基準は、「その民族への敬意が払われているか」にあるという。近年、二風谷(平取町)のイタとアットゥが国の伝統的工芸品に指定されるなど、民族の伝統的な工芸品への関心が高まっているが、民族が長い時間をかけて生み出したオリジナリティを、できるだけ正しいかたちで発信する。博物館のショップは、そんな役割を担っているようだ。
とはいえ、堅苦しく考える必要はまったくない。華やかな刺繍やかわいらしいビーズの飾り、独特の文様がきわ立つ品々は、絶対どれかを連れ帰りたくなるほどキュートでスタイリッシュ。街のセレクト・ショップにあってもおかしくない物が多く、おまけに価格も良心的。「どこで買ったの?」と聞かれること間違いなしの、個性的なおみやげの宝庫としておすすめだ。

北方民族博物館の定番商品である、アラスカのイヌイトのヨーヨー(700円)。制作体験も実施している。津島佑子の小説『ジャッカ・ドフニ〜海の記憶の物語』にも、ちらりと登場する

北方民族博物館の定番商品である、アラスカのイヌイトのヨーヨー(700円)。制作体験も実施している。津島佑子の小説『ジャッカ・ドフニ〜海の記憶の物語』にも、ちらりと登場する

ミュージアム・ショップは北方民族博物館だけでなく、道内に数ある博物館でも併設されているところが多い。その土地に根ざしたおみやげを博物館で探す、というのもありだろう。博物館へ行く楽しみのひとつに、ミュージアム・ショップを加えてみてはいかがだろうか。

ショップをご案内いただいた、北方民族博物館学芸員・笹倉いる美さん

ショップをご案内いただいた、北方民族博物館学芸員・笹倉いる美さん

feature_vol33_museum_ph05

●北海道立北方民族博物館

北海道網走市字潮見309-1
TEL:0152-45-3888
WEBサイト

ENGLISH