「地」を「知」につなげる
後志(しりべし)の名は尻別川の「シリ・ペッ」(山の・川)から来ています。札幌の南から西にかけて広がる後志は、大きく分けて3つの顔を有しています。かつてニシン漁で栄えた日本海沿岸の漁業のまち、羊蹄山を中心に広がる内陸部の農業を基幹産業としたまち、そして商都・小樽です。
小樽には多くの経済人を輩出してきた名門「小樽商科大学」があります。後志の「知」の拠点です。その小樽商科大学が進めているのが「グローカル戦略」です。これは「グローバルな視点から地域経済の発展に貢献できる人材(グローカル人材)の育成」を進め、「経済活性化の拠点となることを目指す」というもの。
こうした流れの中で、後志では「地」の記憶を今後のまちの「知」につなげる活動も始まっています。ニシン漁という「地」の記憶を伝える当時の番屋を再生して「知」の拠点をつくる動きや、土という「地」の恩恵を活かした新たな農業スタイルという「知」。
また、アートも後志の横顔といえます。海のまち岩内町には「木田金次郎美術館」と「荒井記念館」、共和町の「西村計雄記念美術館」、倶知安町の「小川原脩記念美術館」、ニセコ町の「有島記念館」をむすぶ道は「しりべしミュージアムロード」として人気です。おりしも2018年は、木田金次郎をモデルにした有島武郎の『生れ出づる悩み』が出版されて100年。文学や絵画もまた、「地」があっての「知」のカタチです。
知っているようで意外と知らない後志を探しに出かけてきました。