明治時代から酪農の歴史がある八雲町。1907(明治40)年からバターを生産していた農場もある。第二次世界大戦後、多くの若者を研修生としてデンマークに送り出した酪農先進地で、チーズづくり体験ができると聞き、さっそく申し込んでみた。
「原料乳を殺菌したり、スターター(発酵をうながす微生物)を加えてかき混ぜたり、カード(凝固したフレッシュチーズ)ができるまでの工程は、昨日のうちに仕込んであります。今日はチーズを伸ばす、最もおもしろい工程を楽しんでください」。指導してくれるのは、「八雲ハンドメイドの会」会長の戸田美恵子さん。手早く見せてくれたお手本に、不安げな顔をすると、「大丈夫、大丈夫。私たちも最初はたくさん失敗したんだから」と会のメンバーが気持ちをほぐしてくれた。
◎すぐに食べられるが、一晩寝かせた方がおいしくなる。
◎冷蔵庫で1週間は保存できるが、なるべく早めに食べる。
「各家庭に自家製の漬物があるように、酪農家に自家製のチーズがあってもいいですよね」。農業改良普及センターの指導員の呼びかけで、初めてチーズづくりに挑戦したのが1989(平成元)年。「自分たちが搾った牛乳でチーズができる」と喜んだ酪農家のお母さんたちが集まり、1992(平成4)年に「八雲ハンドメイドの会」を結成。手づくりチーズのおいしさや八雲の酪農について広めるためにも、2005(平成17)年から本格的なチーズの製造販売を開始した。
「牛乳はデリケートで、殺菌の仕方ひとつでチーズの味も変わってくる。おいしくつくろうと思うと、乳成分も無視できない。チーズをつくり始めてから、酪農家として牛乳の品質向上にこだわるようになりました」と戸田さん。現在は酪農家だけでなく、興味があれば誰でも参加できる。「みなさんの明るさに惹かれて、仲間に入れてもらった」という移住者がいたり、「家に1人でいたら、こんなに涙が出るまで笑ったりしない」と気分転換にやってきたり、その楽しい雰囲気がチーズの味に反映している気がした。
体験施設/八雲町活性化施設ファームメイド遊楽部1号館
体験期間/通年
体験時間/約1時間
定員/5人以上30人くらいまで
料金/1人1300円
準備するもの/エプロン、三角巾
◆申し込み・問い合わせ/NPO法人 八雲ハンドメイドの会
TEL:0137-62-2572 携帯090-6216-2572(戸田)
FAX:0137-62-4672
◎「牛乳(ミルク)の華」セミハードタイプ/3カ月以上熟成
(プレーン、コショウ入り、トウガラシ入り、ハーブ入り)
◎「牛乳(ミルク)の華」フレッシュタイプ/熊石海洋深層水を使用したさけるチーズ
(プレーン、コショウ入り、トウガラシ入り、ハーブ入り)
■丘の駅 八雲パノラマパーク物産館(噴火湾パノラマパーク内)、ホクレンショップA-COOPやくも店でも販売。
■地方発送の詳細は上記連絡先へ。
遊楽部公園内にある、手づくり加工食品の研究・開発を行える設備を整えた施設。一般の方もチーズ、ソーセージ、バター、アイスクリームづくりなどの加工体験ができる。
営業時間:9:00~17:00
定休日:毎週月曜日、祝日、年末年始
北海道二海郡八雲町立岩359-163
TEL:0137-63-4911