ORTOはイタリア語で野菜畑を意味する。「うちのコンセプトは、ほんとうにおいしい野菜を食べてもらうこと。真剣に取り組んでいる生産者の思いを伝えたいから、食材もかなり吟味している」と、シェフの古屋敏浩(こや・としひろ)さん。札幌をはじめ、ニセコ、大沼、富良野、十勝など、北海道の観光地でホテルの料理人として腕を磨き、「地元の食材を生かし、自分の手で料理する人であり続けたい」との思いで帰郷した。実家の水田の一部を宅地にして店を開き10年。窓からは、のどかな田園風景が広がる。
「もっともち米ランチ」を注文して驚いたのは、もち米アレンジの多彩さとボリューム感だ。まず、野菜のクリームチャウダーが出てくる。旬のアスパラ、ほんのりピンク色のこれは? お、ジャガイモのニョッキだ。ノーザンルビーがこんなにおいしいなんて知らなかったよ。切り餅も入って、ほっこり優しい味がする。そして、旬のベビーリーフや温野菜、もち米入りのテリーヌ、きんぴらともち米の春巻き、もちと生ハムのチーズ焼き、鶏肉ともちの豚バラ巻き焼き、もち入りライスコロッケなどが並べられたワンプレートの登場。もち米がどんな風に使われているか、それぞれ探りながら食べるのが楽しい。パンまたはライス、もち米粉を使ったデザート、コーヒー付きで、なんと980円。
古屋さんはケータリング(出張料理)にも力を入れている。「同じようなこだわりを持つ仲間と手を結べば、新たな活動に広がる」と、道内各地のイベントに参加したり、声をかけられたらどこへでも飛んでいくので、定休日以外にクローズすることもしばしば。電話確認してから出かけることをお忘れなく。
●農園レストラン 食工房おると
営業時間/ランチ11:00~14:00、ディナー17:00~20:00
定休日/毎週木曜日
北海道名寄市日進1084番地2
TEL:01654-3-0722
夏、サンピラーパークに咲くひまわり畑を見て、千花のソフトクリームを食べるのが、観光客の定番コースだ。最近は、もち米を使ったベーグルめあてのお客さんも増えている。「うちのベーグルは、もち米の粉ではなく、もち米を炊いたものを使うの。大量生産できないけれど、よい食感を出すため手ごねにこだわる」と、相原万百美(まゆみ)さん。「彼女は名寄のアイデアウーマンで知られ、考えた商品は次々とヒットする」と、オーナーの誠さんは妻を立てるが、ご自身もログハウスの店舗を自力で建ててしまうほどのやり手だ。
カボチャ、トマトバジル、チーズ、抹茶、チョコ、次から次へと新作が誕生する中、やっぱり、もち米ならではの「赤飯」がいちばん人気だ。ベーグルは焼く前にゆでることで、もちもちの食感が生まれるパンだが、もち米を生地に練りこむことで、さらにもちもち感が増している。北海道の赤飯らしく、甘納豆がコロコロ入っているのもうれしい。原料は名寄産もち米「はくちょうもち」、多寄産小麦粉「春よ恋」、国産の天然ハチミツなど素材にこだわり、牛乳・卵・バターを使用しないのでアレルギーの子に悩むお母さんたちからも好評だ。
●Shop's Garden 千花(せんか)
営業時間/ショップ10:00~18:00、カフェ11:00~15:00
定休日/毎週火曜日
北海道名寄市日進1106番地
TEL:01654-3-0760
「喫茶店が1軒もない風連に、誰もが気軽に立ち寄れるカフェをつくりたかった」と、3年前に店をオープンした。店主の中尾瞳さんは、学生のような初々しさが残る25歳だ。幼いころ、祖母と一緒によもぎあんこもちを作った思い出が忘れられず、地元の食材を生かした「食づくり」をしたいと夢見ていた。パンの品揃えは、ベーカリーと間違うくらいの品揃えだ。しかも、普段は「ごはん」党のお年寄りからも「ここのパンは、どっしり腹持ちがいい。これなら食べられる」と、評判がよい。
風夢のパンは、バターの代わりに太白胡麻油を使う。発酵に時間がかからず、しっとり、どっしりした食感に仕上がるからだ。「きなこもちパン」の中に、もち米粉を練って作る求肥を入れたのは、子どものころから「すあま」が好物だったから。一口食べてみると、きなこのほどよい甘さと柔らかいもちもち食感が、どこか懐かしい。米粉ともち米粉を合わせて焼いた「お米パン」は、地域で子育て相談を受けている助産婦さんからも「赤ちゃんでもかみきれるから」と注文が入る。「トマト、ナス、キュウリ、寒締めほうれん草など、地元の野菜をふんだんに使ったパンも、どんどん開発したい」と夢はふくらむ。
●café風夢(ふうむ)
営業時間/10:00~18:00
定休日/毎週日曜日
北海道名寄市風連町本町68番地
TEL:080-3266-5787
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名寄市は、もち米生産日本一のまち。名寄産のもち米は、軟らかく粘りがあり、時間が経っても硬くなりにくいのが特徴だ。しかし、もち米は加工されることが多く、産地名が表に出にくいため、その価値を認識する人が少なかった。
そこで、消費拡大を進めるためにも「もっと! もち米プロジェクト」を展開。毎月、もち米の新しい食べ方を提案する料理レシピを作成したり、毎年、もちつき名人を決める大会を開いたり、市民に生産現場を体験してもらう「もち米サポーター養成塾」も開講。
市内の飲食店でも、もち米料理やスイーツが並ぶようになった。名寄もちグルメマップもあるので、道の駅「もち米の里☆なよろ」で要チェック!!!