まちの人に聞いて見た「あの風景、この味、お気に入り」。

「徳川さん」と親しみを込めて

服部由美子さん

「マルハチの屋号はね、尾張徳川家の合印を下賜された由緒あるものなの」と教えてくれたのは、服部醸造株式会社 専務取締役・服部由美子さん。地元では「マルハチ」の屋号で親しまれている昭和2年創業の老舗だ。
服部家の祖先は旧尾張藩徳川家の家臣で、1877(明治10)年にはじまった遊楽部(ユーラップ)開拓のため入植。そこで暮らしには欠かせない味噌や醤油を醸造したのが始まりだったという。自宅を改装したギャラリーには、いまでは珍しい初期の木彫り熊などがあり、歴史の深さを感じさせる。服部醸造は、創業当初から製造に携わるセクションのスタッフはすべて八雲町から雇用するといった地元密着の徹底ぶり。若いひとたちにも、このまちで働いてもらいたいという。安心・安全はもちろんのこと、地域活性化を目的に八雲産の素材のみで製造した「オール八雲」を販売するなど、八雲を盛り上げている。

そんな服部さんが八雲に来たら見てほしいと言うのは、「徳川義親氏の銅像」。
銅像には、なんと!? 「徳川さん」と刻まれている。
モデルになったのは、徳川家の19代当主・徳川義親(よしちか)氏。本サイトでも紹介している八雲にとっての重要人物だ。
銅像は、名誉町民第1号に選ばれた際に町民有志により建立されたもの。それほどの偉人であるのに、自らを「徳川さん」と呼ばれることを好んだそうで、周囲から親しまれる飾らない人柄だったことがうかがえる。
銅像は、公民館と郷土資料館の敷地内にあるので、八雲の歴史を学びながら、ぜひ立ち寄ってほしい。

マルハチの味噌樽を抱える木彫り熊の親子

腰にはマルハチマークの味噌飴も