第8回

ミツバチの冬のすごし方

春の訪れを感じる日がすこしずつ増えてきていますが、まだまだ雪の多い北海道。
ミツバチたちは、どんなふうに冬を過ごしているのでしょうか。

その話をするときに知ってほしいのが、ミツバチの種類のこと。
日本で、蜂蜜のために飼育されているミツバチの種類は、「セイヨウミツバチ」と「ニホンミツバチ」です。明治以降、日本の養蜂業で活躍してきたのはセイヨウミツバチのほう。一方、ニホンミツバチは伝統的に日本で飼育されてきました。このどちらも、北海道の過酷な冬の自然環境の中では生きていくことができません。

ですから北海道の養蜂家さんは、おもに九州など南のあたたかい地域に移動して飼育したり、北海道内にとどまる場合でも、あたたかい屋内環境の中で管理するなど、ミツバチが生き延びるための工夫をしていると聞きます。

このコラムに度々登場してくれている「さっぱち」(サッポロ・ミツバチ・プロジェクト)が飼育するミツバチの種類も、このセイヨウミツバチです。
さっぱちで、どのように越冬をしているのかを聞くと、この冬は札幌で、なんと屋外での越冬に挑戦しているとのこと。もちろん野ざらしにするのでなく、暖房などは使えなくてもミツバチを守る工夫をします。

この写真は、昨年秋、越冬の準備をしているところです。

(写真提供:サッポロ・ミツバチ・プロジェクト)


巣箱を、ぐるりと木や藁などで囲い、雪や冷たい風、凍えから巣箱を守りつつも、密閉せず、ミツバチがきちんと息ができるように配慮しています。

給餌器にたっぷりと入れたのは、越冬用の糖液です。
この糖液は、ミツバチが体調を崩さないようにできるかぎり配慮されたものなのだとか。これで食料はバッチリ。

(写真提供:サッポロ・ミツバチ・プロジェクト)

越冬準備完了で、ハイ、チーズ! 無事に越冬できることを願って。

(写真提供:サッポロ・ミツバチ・プロジェクト)

冷たい外気に触れさせないため、春までずっと、このまま。
だから、とちゅうで開けて中を見ることができませんが、越冬中のミツバチは冬眠はせず、球状に身を寄せ合い、体力を温存するようにじっとしつつも、羽を震わせてお互いの熱で温め合っているのだそうです。

今回は同じ場所での2回目の越冬ですが、昨年は失敗してしまったとのこと。今年越冬している3群が、どうにか春までに7割くらいは残ることを期待していると、さっぱちの本田真琴さん。
無事に、みんな生き残っているといいですね。

2017年度も、さっぱちでは5月初旬頃に活動を開始します。一緒に活動したい方は、まずはウェブサイトからアクセスを。

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