お茶の伊藤園は今年2月、国際線搭乗待合室内に「TAXFREE伊藤園」を出店した。国内の空港では成田空港店に続く2店舗目。なぜお茶の会社が土産店かと思い聞いてみた。
「当社のブランドは、国内の他の飲料メーカーに比べて、海外への発信が課題です。一方で、例えばシリコンバレーのプログラマーや開発者には高いブランド力を持っています。多くの時間をディスプレイの前で過ごす彼らは食事もハンバーガーなどが多くなり、一緒に摂る水分としてヘルシーな緑茶の人気が高い。つまり、日本茶はまだ発信力が弱いだけで競争力が低いわけではないのです。10年前に成田空港に出店し、外国人向けの味つけをした店舗で、売上、ブランド発信、日本茶の普及とも大きな成功事例となりました。そこで、世界から注目されている北海道の空港に、2店舗目のアンテナショップを出したのです」というのは店長の毛雪瀅(もう・せつえい)さんと井上沙莉奈さんのお二人。
海外の方には店頭でのお茶の試飲が人気。鉄瓶で湯を沸かし、一杯ずつ丁寧に淹れる。自身も中国出身の毛さんは「中国の人はお茶が大好きなので、自国のお茶文化とどう違うのかなど興味をひくようです。そして、お茶にお金をかけることに抵抗はありませんから、高価な玉露を買ってくださるのは中国の方が多いですね。近年、健康志向も高まっているので、鉄分が摂取できる南部鉄器も好評です」
「北海道のショールーム」を旗印に掲げる新千歳空港。約180店それぞれには多様な目的や戦略がある。北海道空港㈱では今後も、よりワクワクする空港づくりを進めていく。その一つが国内線搭乗待合室の改修だ。
担当者は「北海道を代表する菓子メーカーの専門店や、搭乗待合室内では初めてとなる飲食店を導入し、搭乗直前まで北海道の良さを感じることができるような空間にしていきたい」と言う。