小説家の筆が描いたまち。書かれた時代と現在。土地の風土と作家の視座。
「名作」の舞台は、その地を歩く者の眼前に何かを立ちのぼらせるのだろうか。
*この連載は、作家の合田一道氏が主宰するノンフィクション作家養成教室「一道塾」(道新文化センター)が担当しています。
第19回

(日本語) 飛行機の旅(林芙美子)

あらすじ

1935 (昭和10) 年9月、林芙美子は読売新聞社主催の流行作家リレー飛行に選ばれ、青森県(青森)―北海道(札幌)―秋田県(能代)間を、当時珍しい飛行機で移動した。「飛行機の旅」は、その道中記だ。空から北海道を描写した文士は、戦前では彼女のみである。そしてその小説は、昭和初期の北海道の景色、函館と札幌の街並みが知れる貴重な資料でもあった。

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林芙美子(はやし・ふみこ)

1903~1951年 山口県生まれ。尾道高等女学校を卒業後、女工や下足番など多種の職を転々とする。自叙伝「放浪記」で文壇デビュー。1934 (昭和9) 年に初来道した。旅行記以外にも、庶民の生活を題材にした小説が多い。代表作に「晩菊」「浮雲」がある。心疾患で自宅にて急死。
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