「おもてなし」のまち、上川にて

カミレンジャー、登場

まちおこし戦隊カミレンジャーが制作・発行している上川町タウン情報誌「かみかわさんぽ」

マスコットとは?人々に幸運をもたらす小動物や人形、縁起のよいものなど。上川町のマスコット「かみっきー」は、まさに町中に幸せをふりまく愛されキャラだ。ただ、とても恥ずかしがり屋なので、頼もしい仲間たちがサポートする。その名は、まちおこし戦隊カミレンジャー!
森由香-text 伊藤留美子-photo

「かみっきー」大活躍の巻

まちのイベントがあると、そのまちの“ゆるキャラ”の着ぐるみがよく登場する。日本ご当地キャラクター協会によると、現在のゆるキャラ数は推計3千以上。日本の市町村数が1718なので、まちの数をはるかに超えるキャラクターが存在するわけだ。中には地域住民にもあまり知られていない、可哀そうなキャラもいるけれど。

上川町のマスコット「かみっきー」は、2014年に誕生。町の開拓120年を記念し、168点の応募の中から審査会を経て決定したキャラクターだ。ここまでは、ほかの地域にもある話だが、かみっきーの幸せなところは、町民から「もっと、かみっきーを活躍させたい」という声が上がったことだ。

きっかけを作ったのはママ友の3人、山川雅恵さん、辰巳佳子さん、宮本恵理香さん。ハンドメイド会の仲間で、デザインが得意な辰巳さんがかみっきーを考案。ハンドメイド好きが高じて、「ハンドメイドで町おこしをしたい」と考えるようになり活動していた3人。町のために「かみっきー」を活用するアイデアは次々と出てきた。

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カミレンジャー代表の山川雅恵さん(左)と、かみっきーを考案した辰巳佳子さん(右)(写真提供:カミレンジャー)

3人の提案に役場も協力。「かみっきーと一緒に、まちの魅力を掘り起こそう!」という呼びかけに、賛同した20人で「まちおこし戦隊カミレンジャー」が結成された。メインの活動は情報誌『かみかわさんぽ』の発行。メンバーで取材・撮影し、記事やデザイン、印刷データの制作まですべて行う。
A5版の小さなフリーペーパーだが、内容が濃く、すみずみまで丁寧に作られているのがよく分かる。かみっきーの活躍ぶりも楽しいが、かみっきーの帽子をかぶって登場する町の人たちのうれしそうな姿が印象的だ。

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「かみかわさんぽ」取材中のひとコマ。町の人たちも協力的(写真提供:カミレンジャー)

かみっきーが生まれて3年のあいだに、『かみかわさんぽ』は6冊+総集編を発行。さまざまなかみっきーグッズができ、イラストのポーズも50種類を数える。町内のあちこちに出没するかみっきーは、マスコットというより、もはやアイドルと言えるかもしれない。

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カミレンジャーはかみっきーグッズも手掛ける。それを持って道内イベントでPR活動に励むメンバーもいるそう(写真提供:カミレンジャー)

町民が好きになる町へ

カミレンジャー結成に関わった宮本恵理香さんは、2013年に移住してきた新・町民だ。東京で美容師のキャリアを積んでいたが、東日本大震災を機に移住を考えはじめ、ご主人の慶知さんに三國シェフから「フラテッロ・ディ・ミクニ」の料理人の話があり、病弱な娘さんのためにもと、移住を決意。
「覚悟してきました。町に新しい観光施設ができることに反対する人もいるでしょうし、簡単に受け入れてもらえるものではないと。ところが、『よく来てくれたね』って、たくさんの方が親身になって接してくれる町だったのです」。

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カミレンジャーの事務局を務める宮本恵理香さん。仲間が改装を手伝ってくれた美容室で

娘さんはすっかり元気になり、恵理香さんは空き店舗を改装し、美容師の仕事を再開した。「共働きの夫婦にとって、ここは日本一住みやすい町だと思います」と、きっぱりと言う恵理香さん。
2つの幼稚園と1つの保育所があり、ライフスタイルに合わせて選ぶことができる。高校生まで医療費無料で、今年から給食費も無料になったそう。
「水と食べものがおいしく、地域の人たちも優しくて、子育てには最適な環境です。ずっと住んでいる方は気づかないこともあると思うので、外からから来た視点ですごい!と感じることを『かみかわさんぽ』で伝えたい」。

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町民からたくさんの作品が集まった「かみっきーコンテスト」(写真提供:カミレンジャー)

『かみかわさんぽ』は第7号の制作が進行中。取り上げる予定のテーマはまだまだあり、それだけ上川町は掘りがいがあるということだろう。
「カミレンジャーは地域団体。町民の声を大切にして、町民にもっと上川を好きになってほしい。だから、町の人たちが胸をはって、『上川はいい町だよ』と伝えられるような情報誌にしたいねと、みんなで話しています」。

カミレンジャーのメンバーは27人まで増えた。業種も年齢もさまざまなメンバーが知恵を出し合い、そこから “つながるチカラ”を発揮して、町を活気づけている。あらためて、『かみかわさんぽ』を開いて気づく。かみっきーと一緒に笑う町の人たちはみんな、わが町を思う「カミレンジャー」だ。

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春に誕生した新しい酒蔵「緑丘蔵」にて。かみっきーの活躍は続く

かみっきー
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かみかわさんぽ
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