プロローグ

人と森が育むまち。

天塩川と石狩川。この大河の上流域には、個性豊かな二つのまちがある。下川町と上川町だ。両町には共通点がある。例えば葛西紀明、高梨沙羅選手といったスキージャンプの名選手たち。そして、森と人の豊かな関わり。ふたつのまちの個性から、社会の深みでいま起こっている何かが見えてくる。

2017/04/19

「おもてなし」のまち、上川にて

小さな酒蔵が醸す夢

層雲峡の名前は知っていても、どの町の温泉地か知らない人は多いかもしれない。北海道上川町。日本最大の山岳公園「大雪山国立公園」の玄関口に位置し、ダイナミックな自然に抱かれた小さな町だ。その町から聞こえる熱い声に耳を傾けていくと、壮大な夢が浮かび上がってくる。

2017/05/10

上川町に移住した杜氏

川端慎治さん。北海道の日本酒党には広く知られた杜氏で、前に在籍していた酒蔵を辞めた時は、復帰を求める署名運動が起こったほどだ。その杜氏が約2年ぶりに酒造りの現場へ帰ってくる。選んだ職場は、上川町に誕生する新しい酒蔵。完成したばかりの「緑丘蔵」へ噂の杜氏を訪ねた。

2017/05/17

旭ヶ丘を眺めながら

上川町旭ヶ丘。この地の風景を目にすると、また違う季節も足を運びたくなる。どのまちにも、すばらしい宝物はあるはずだが、人の目にふれなかったり、住民が気づいていないこともある。上川町を“おもてなしのまち”へと動かした美しい風景と、「旭ヶ丘プロジェクト」について聞いた。

2017/05/24

旭ヶ丘に咲いた花

大雪山系を望む標高600mの旭ヶ丘エリアに、約700品種の花を咲かせる「大雪森のガーデン」。春から秋へ、次々と表情を変える広大な庭は、北海道の魅力が凝縮されたような空間にも思える。まちの未来を描き、まちとともに育ってゆく、5年目のガーデンを訪ねた。

2017/05/31

風景をごちそうに

三國清三シェフ。増毛町出身。フランス料理の世界的シェフに、どこか親しみを覚えてしまうのは、やはり並々ならぬ北海道愛を感じるからだろうか。三國シェフと上川町。そこに、縁は無かったけれど、「北海道のために」という思いが“つながるチカラ”になった。

2017/06/14

カミレンジャー、登場

マスコットとは?人々に幸運をもたらす小動物や人形、縁起のよいものなど。上川町のマスコット「かみっきー」は、まさに町中に幸せをふりまく愛されキャラだ。ただ、とても恥ずかしがり屋なので、頼もしい仲間たちがサポートする。その名は、まちおこし戦隊カミレンジャー!

2017/06/21

森のまち、下川にて

満月の森を歩く

まちの面積の約9割を森林が占める北海道下川町で、森と関わる人たちに会った。苗木を育てる人。伐った木を材にする人。その材で家をつくる人。森を守る仕組みをつくる人。その恵みを大切に使う人。森と関わることは、下川で暮らすことそのものだった。第1回目は、森を案内する人のお話。

2017/04/19

川が流れるように

北海道下川町は1953年、1221haの国有林の払い下げをきっかけに積極的な植林を開始した。毎年約50ha植林し、60年で伐採する「循環型森林経営」のはじまりである。森で生まれる資源は、川の流れのようにまちのあちこちに広がっていく。その流れをつくり出した一人に会った。

2017/04/26

「森とイエ」プロジェクト第一号

下川町の名寄本線跡地にトドマツの防風林が残っている。2012年冬、ここに細長い1軒の家が完成した。下川産の木をふんだんに使い、「森とイエ」というプロジェクトから生まれた住宅。どんな人たちが、何を考えながらつくったのだろう。それがこれから、どこにつながっていくのだろう。

2017/05/10

危機感とワクワク感

下川町ではじまった「森とイエ」プロジェクトは、地元工務店の危機感からスタートした。このままでは地域経済が疲弊してしまう———そうした切実な気持ちに加え、かれらの胸にともった熱い職人魂と新しい出会いへのワクワク感がプロジェクトの大きな力になっている。

2017/05/17

移住者がつなぐもの

下川町を歩き回っていると、いろいろな場面で移住者の活躍が目立つ。トドマツの枝葉からつくる「森の香り」に魅せられた人と、有名な観光地ではないけれど、「日々の暮らしを楽しむ場」に引き寄せられた人、いまや、下川になくてはならない存在となった二人にお話を聞いた。

2017/06/07

「一の橋バイオビレッジ」のシイタケとイタリアン

下川町は森林経営やエネルギー自給など先進的な取り組みを数多く行っているが、町の東部にある小さな集落「一の橋地区」でも、未来を担う試みがいくつも始まっている。「一の橋バイオビレッジ」は、人の営みに寄り添いながら、着実に前に進み続けている。

2017/06/21

一の橋の山川さん

「一の橋バイオビレッジ」の集住化住宅に住む山川さん夫妻。陽当たりのよいリビングで、これまでの人生を駆け足でうかがっていると、一の橋の歴史が身近に感じられてくる。ずっと生活してきた場所に住み続けたいと思えることが、どれほど素晴らしいことか、二人の優しい笑顔が教えてくれた。

2017/06/28

(連載のその後)富永さんの森しごと

川町で満月の森を歩く「ムーンウォーク」の案内をしてくれた富永さんから、「いま札幌の森にいるので、よかったら見に来ませんか?」と連絡があった。彼はこの春に「薪屋」として独立し、さらに森での仕事を学ぶため、先輩二人と現場に入っているという。

2017/07/12

サイドストーリー

塩狩峠~ふたつの大河を分ける物語-1

開拓とともに延びていった北海道内陸の主要交通網のほとんどは、古来アイヌの人々が踏み分けていた道がもとになっている。そのことの意味を考えてみるのに最適な場所が、天塩川と石狩川の分水嶺である塩狩峠だ。

2017/05/03

塩狩峠~ふたつの大河を分ける物語-2

和寒町JR塩狩駅のすぐそばに、旅好きたちに知られた宿がある。開業5年目のこの若いユースホステルから、塩狩峠をめぐる人と鉄路の話がはじまる。

2017/05/17

塩狩峠~ふたつの大河を分ける物語-3

北上をつづけた北海道開拓の最前線が塩狩峠を越えた時代。それは北東アジアに大きな変化が起こっていた時代でもあった。少し大きな構図でこの峠のことを考えてみよう。

2017/05/31

塩狩峠~ふたつの大河を分ける物語-4

塩狩峠と聞けば、まず三浦綾子のロングセラー小説を思い浮かべる人も少なくないだろう。連載の最後は、小説『塩狩峠』を軸に峠を綴りたい。

2017/06/14

上川町長×下川町長クロストーク

人口減少時代、まちに新しい営みをつくるには

今回の特集のテーマは「小さなまちの、つながるチカラ」。国の政策をいち早く取り入れたり、町外の企業や人材と密接に結びついたり、さまざまなつながりを持つことでまちを活性化させることに成功している上川町・下川町の両町長に、町政の運営や今後のビジョンについてお聞きしました。

2017/07/05

交流のないところにマンパワーは生まれない

開拓の歴史や人口規模など共通点の多い上川町と下川町ですが、上川町は観光、下川町は農林業を中心に、それぞれの特性を踏まえたまちづくりが行われてきました。いま直面している課題は何か、今後の展望はどのようなものか。引き続き両町長にお聞きしました。

2017/07/12

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