プロローグ
喫茶店はまちの「ゆとり」や「間」としての役割を担っている気がします。かつてのような文化の発信拠点ではないかもしれないけど、今でも大切な場であり、空間です。以前によく通ったまちの喫茶店に足を向けてみてはいかがでしょうか。懐かしいカウンターとマスターがそこに。
2024/07/10
岩本珈琲:どん底期、1本のギターから 「引き寄せの法則」が始まった
2001年の『さっぽろ喫茶店さんぽ』制作時、岩本さんにとてもお世話になった。「プロが教える“ワンランク上”のコーヒー講座」のコーナーでは、豆やブレンドの基礎知識、家庭での焙煎方法などを丁寧に教えていただいた。その岩本珈琲が今、「コーヒーと音楽の調和」で盛り上がっている。
2024/07/10
ワインのように珈琲にもテロワール。多様性の味にこだわる徳光珈琲
大学の祭に個人の珈琲店を出店し話題になった人がいる。価値を高めるために陶磁器のカップを用意し、3年目には2日間で250人も集客した。2005年、石狩の住宅街に「徳光珈琲」を開業した徳光康宏さんだ。石狩店、円山店、大通店、銭函店と店舗を広げ、来年、創業20周年を迎える。
2024/07/17
札幌市内に6店舗を展開する丸美珈琲店は、スペシャルティコーヒー専門店として愛される名店の一つ。代表の後藤栄二郎さんが中南米やアフリカなどの生産地へでかけ、直接買い付けた豆が並び、「こんな味のコーヒーがあるんだ」といつも驚きと発見にあふれている。
2024/07/24
羊ヶ丘展望台から少しだけ札幌ドーム方面に下った道沿いに「カフェ・ノエル」はある。夜はライトアップされ、近隣のランドマーク的な存在だが、素人目には喫茶店が成り立つ場所とも思えない。店主の宮越精一さんに喫茶店のこと、昭和初期から続く宮越家の接客業の歴史を聞いた。
2024/07/31
地域と美術館をつなぐ場へ。MUSEUM SHOP & CAFE きねずみ
美術館や博物館のカフェは、「展示を見に来た人の休憩コーナー」の役割を前提として設けられることが多い。だが、観覧後の休憩所としてだけではなく、地域にとって大切な役割を果たす場になり得るのではないか—。そんな可能性を、ある小さなカフェに見た。
2024/08/14
白石の住宅街に焙煎体験ができる喫茶店「焙煎研究所」がある。店名も外観も喫茶店のイメージはない。店の横の温室ではコーヒーの木を栽培している。オーナーの吉田元海さんは「自家焙煎を自宅やキャンプ場でも気軽に楽しめる文化を広めたい」と語る。コーヒー豆の焙煎を体験してみた。
2024/08/21
文化人など進歩的な人々が集う場所として、やがて庶民の憩いの場へ。そんな喫茶店の変遷や店をめぐる人間模様を書き残したのが、自身も喫茶店を経営していた和田義雄さんだ。その著書をたどりながら、昭和の喫茶店に思いを巡らせてみた。
2024/08/28
紫烟荘(しえんそう)、ダフネ、トップ……。店名を聞くだけで、あのワンシーンが蘇る。コーヒーの香りと共に漂うのは、緊張感か、ロマンスか、軽妙洒脱なユーモアか。映画に刻まれた喫茶店の“残り香”をたどってみた。
2024/09/04
札幌のJR篠路駅から徒歩10分の場所に居心地のいいコミュニティカフェがある。名物は手打ちうどん、シフォンケーキ、それから水曜から土曜は「須藤雅司さんこだわりの一杯」。須藤さんのコーヒーを飲みながら、これまでの話をお聞きした。コーヒーは媒介である、とあらためて思う。
2024/09/18
2023年に創成イーストの一角にオープンした「喫茶こともし」。喫茶店+学習塾というユニークな形態で、大人にも子どもにも親しまれている。普通の喫茶店では起こり得ないつながりが生まれる場所。そこは、愛ある“おせっかい”で溢れていた。
2024/09/25
岩見沢の中心部からおよそ20分車を走らせて到着するコンテナハウスの店は土日だけの営業。妻の「手作りスイーツを提供する店をやりたい」という希望を夫の定年退職後に形にし、夫婦二人で切り盛りしている。外に向いたカウンターの向こうには水田と里山の風景が広がっていた。
2024/10/02
サイドストーリー:カフェから始める北海道農場長物語
17世紀にロンドンで生まれたコーヒーハウスは、人と情報の交わりを拡張して、新たな公共圏を誕生させた。新聞の発達も、保険会社などの新ビジネスや学術団体の進展も、そこから起こったムーブメントだ。そして北海道開拓をコーヒーハウスから語ることも、さほど無理な話ではない。
2024/10/09
1897年に制定された「北海道国有未開地処分法」は、日清戦争の勝利で離陸した日本の資本主義を一気に拡張させる枠組みとなった。これ以後北海道に向けられる土地への投資がいっそう増していく。しかしその現場はどのようなものだったろう。農場長の仕事からその現実が見えてくる。
2024/10/16
渋沢栄一に代表される近代の巨人たちに光が当たることは少なくない。しかし彼らのビジョンを実際に現場で動かしたのはどんな人たちだったのか。郷土史研究会が掘り起こした「吉田嘉市先生小伝」という一冊のドキュメントが、十勝開墾合資会社のあゆみを生き生きとよみがえらせている。
2024/10/23
札幌最初期の喫茶店「カフェーパウリスタ」から始まったサイドストーリーも、長い回り道を経て最終回だ。渋沢栄一というビッグネームの影にあった農場長に当てた光を、その周囲にも広げてみよう。自分が暮らすまちの場と空間を主語にすれば、北海道は自身をどう語ることができるだろうか。
2024/10/30