読者の中には、野口観光のホテルを利用したことがある人も多いのではないでしょうか。
野口観光の野口秀夫社長に「人気のヒミツ」を聞きました。
第5回
【食事改革の実現に向けて】

社内で競う料理の祭典

旅行の楽しみは食事、という方が多いのではないでしょうか。前々回のこのコーナで、弊社はかつて食事の評価が決して高くはなく、そこから食の改革に本気で取り組み、今では多くのお客様に高い評価をいただいていることをお伝えしました。

そのヒミツの一つが「N-1グランプリ」です。Nは野口観光の頭文字。この社内コンテストを長く続けています。1年に2回、いくつかの部門(例えば朝食部門、夕食部門、デザート部門等)に分かれて、各ホテルの料理人たちが創意工夫をしてチャレンジします。テーマは「焼きそば」という料理だったり、「エゾ鹿肉」という素材だったりと、与えられるお題は毎回変わります。料理の原価も決めています。焼きそば1人前に1000円の食材費を使うわけにはいかないので、決められた原価の中で、いかに魅力的で美味しく、そしてお客様に食べてみようと感じていただける焼きそばを作るのかを競うわけです。各部門でグランプリをとった作品は各ホテルで実際にお客様へご提供しています。

審査は私を含めて社内の人間と社外の方々半分ずつ。数時間のうちに数十の料理を口にして点数をつけていくので、審査員も体調を管理しながら、緊張感をもって当日に臨みます。料理人たちはテーマが決まるとイメージを練り、それぞれの職場で仕事の合間を見ながら試作を繰り返し、上司や部下に試食してもらいながら自慢の一皿を出してきます。だからこそ、その思いをきちんと、目と舌、そして体全体で感じとれるように準備をして、審査をしなければ失礼です。一品ずつ、料理人から意図や調理のポイントなどの説明を受け、その後にテーブルへ運んで試食します。

結果が出た後はノーサイド。日頃、遠く離れたホテルで働く料理人たちの交流と情報交換の場となります。そこでまた新しいヒントを得て職場に戻り、今日のお客様のために腕を振るうのです。

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