柴田寿治/寿珈琲店主 雑貨と飲食のマーケットイベントの企画・運営も手掛ける
山本 忠/(株)ピントハウス 不動産事業部 部長
新谷一就/札幌南1条東郵便局 局長
近藤洋介/(株)ノーザンクロス 技術士(建設部門 都市及び地方計画)
中島 忍/平成2年北海道神宮に奉職 平成27年4月より頓宮の権禰宜(ごんねぎ)
柴田 2015年から始めた企画が「さっぽろ下町マルシェ」。北海道神宮の「神宮マーケット」が話題になっていたので、頓宮でもできるのではないかと思い、頓宮さんに電話してみたのです。突然のお願いでしたし、簡単にはいかないだろうと思っていたら、中島さんが「どうぞ、どうぞ」と言ってくれて(笑)。
中島 創成東に暮らす人が増え、まちの雰囲気も変わっていく中で、地域の核である神社は何ができるのかと考えていました。まずは、地域の人たちに足を運んでもらうことが大切なので、柴田さんの提案にぜひやってほしいとお返事しました。
山本 中島さんがいなかったら、僕たちの活動もここまで進まなかったと思います。神宮マーケットは車の渋滞が問題になっていたので、下町マルシェは歩いて来てもらうことを前提にしました。もともと地域のためのイベントですから、告知も近隣しかしていません。
近藤 広く告知しなくても、2015年は2日で800人、16年は1日で1000人くらい集まりました。ほとんど地元の皆さんで、子連れのお母さんたちも目立ちましたね。
新谷 なんで郵便局の人がお店に立ってるの?って話しかけられて(笑)、町内の人たちがずいぶん来てくれました。ここは札幌の都心なのに、ほどよい田舎の感じがあるので、とてもいい雰囲気のイベントになりました。
柴田 浅草など下町と呼ばれるところのお祭りは、まちと人が密着している感じがします。札幌では、このエリアが下町らしい雰囲気を残していると思い「さっぽろ下町マルシェ」と名づけました。1年目から予想以上の集客だったので、2年目は出店よりワークショップを多くしました。学生に協力してもらって、境内の会場で絵をかいたり、木工教室をやったり。子どもたちの参加によって、親世代も呼びたかったからです。
マンションに住む新しい住民は、なかなか地域に馴染むきっかけがない。そのつなぎになることも下町マルシェの役割と思っています。僕たちはまちを変えたいわけではなく、このままの雰囲気や歴史を生かしながら、地域に還元する動きをしていきたいのです。
中島 札幌でさん付けされるのは、「丸井さん」と「頓宮さん」だけと言われます。それだけ人との距離が近い場所なのだと思います。今年は頓宮に御分霊をいただいてから70年、2019年は北海道神宮が創祀から150年の節目を迎えます。このような節目節目に向かって、人々が集まってきているような気がしています。
柴田 今年は、9月の頓宮例祭の前に下町マルシェをやる予定です。本来のお祭りが盛り上がるよう、呼び水として下町マルシェを位置づけます。春からは月1回ペースで、野菜中心の朝市を頓宮でやる案も出ています。そこではパンを売ったり、コーヒーも出したり。頓宮が身近になる企画を続けていくと、また違う1年が見えるかなと思っています。
120年以上前に北海道神宮周辺で始まり、にぎわいをみせていた「円山朝市」を、新しいカタチで復活させようと開催された「神宮マーケット」。有志の実行委員会により2011年から2015年まで開催し、年々盛り上がりをみせていたが、会場である神宮内で各種工事が続くことから、無期限休止が決定した。