読者の中には、野口観光のホテルを利用したことがある人も多いのではないでしょうか。
野口観光の野口秀夫社長に「人気のヒミツ」を聞きました。
第3回
【おいしい料理】

ガチンコ勝負で挑んだ料理のレベルアップ

21世紀を迎えようとしていた2000年、当社の全段新聞広告が評判になりました。美味しそうな料理や気持ちよさそうな温泉の写真は一切使わず、また商品の案内も載せず、文字だけで構成した広告でした。キャッチコピーは「野口観光は食事が悪いと言われている」です。

当社のお客様の多くは、食事も館内でお召し上がりになります。料理には最大限の努力はしているつもりでしたが、お客様の評価は違っていました。つまり、私たちの知恵も工夫も努力も、足りていなかったということです。前年に社長になったばかりでしたから、正直ショックもありました。同時に「ならば真正面からぶつかって、評価を覆そう」という意欲もわきました。そこで、新聞広告で、これから野口観光はガチンコ勝負で食事の改革に取り組みますと宣言したのです。

この食事改革は「食彩維新」と名付け、全社体制で臨みました。今になって考えると、あれが大きな転換点になったと、お客様の率直な評価に感謝しています。この取り組みは食事のみならず、あらゆる面での改革の足掛かりとなりました。その根底にあるのは、お客様の想像を超えたサービスをしようという意識です。商品の価値はお客様が決めるものです。1万円のお支払いで8000円の価値と思われれば次はありません。しかし1万2000円の価値を見出していただけたならリピーターになってくださいます。

北海道観光の価格競争が話題になっていた時期でした。その時に「価値競争」の意識を全社的に持つことができたのは本当によかったと思います。

当社が展開する17のホテルの料理長や若手たちが季節のメニューを考える社内コンクール、社外のアドバイザーも参加する試食会などを年に何度も開催し、今では料理が当社の大きなアピールポイントになっています。そして、私たちは地域社会とともに生きる企業として、可能な限り地産地消にこだわった料理をご提供しています。

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