カイカメラマンの露口啓二が、『自然史』という写真集を出しました。
北海道の漁川、沙流川、夕張や三笠などの炭鉱のあった地域、四国の吉野川中流域、東日本大震災の被災地となった太平洋沿岸のまちと福島がその被写体となっています。なぜ「自然史」なのかについては、ここで紹介するよりも冒頭の写真家自身の言葉をお読みください。多くの方の手にわたり、被写体となったその地のことを共に感じられればと思います。
いまこうしているうちにも地方では、自然が人為の管理を外れて、旺盛な自己表現を繰り広げている。露口はそれを中性的に見つめ、捉えようとする。おそらくこれらの写真は、われわれにこう問いかけてくる。自然の横溢は救いか、絶望か。
「自然の表現」—倉石信乃(写真批評)より抜粋
写真に写っているものから、写っていないものを想像すること。並列されている写真から、微かな痕跡や兆候を読み取り、これらの地域で起こったこと、起こりうることに思いをはせること。これらの地域以外の、空間的・時間的に隔たったさまざまな場所 − 忘れ去られたような場所や歴史的に特異な出来事が起こった − の今、過去そして未来を想像すること。そしてそこから人間という存在にあらためて向かうこと。
「自然史 − 流動と境界のはざまで」四方幸子(キュレーター /多摩美術大学・東京造形大学客員教授)より抜粋
露口啓二『自然史』赤々舎、2017年(ISBN978-4-86541-060-0 C0072)
定価:本体5.000円+税
※4月上旬から、全国書店、アマゾンでお買い求めいただけます。なお、フレメン写真製作所にも在庫がございますので、下記からご連絡ください。
(有)フレメン写真製作所
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3/8(水)の北海道マガジン「カイ」新着記事はこの2本です!
▼まちぶらNAVI vol.4「室蘭市」
【まち歩き】ロケしたくなる風景、人情、気配がある
戦前から数えると、北海道で撮影された映画は400本を超え、なかでも、室蘭はロケ地として選ばれることが多いといいます。いわゆる北海道らしい田園風景や地平線もない、観光客も少ないこのまちに、なぜ惹かれるのか。まちを歩いて探ってみました。
▼連載:客席の迷想録 vol.9
閑話:「私は演劇人の敵である」…?
今回は、演劇作品の感想の「書き手」としての話。
演劇作品の作り手との間のギャップ、緊張感。それぞれの届けたいことは、互いにどのように伝わっているのか。
カイライターの柴田美幸がパネルディスカッションの司会をつとめるシンポジウムのご案内です。「カイ」33号ジオパーク特集でお世話になった北海道博物館などの主催で、以前カイにご登場いただいた方もご登壇です。
有珠からひもとく 小氷期の自然環境とアイヌ民族の暮らしI
日時:2017.3/11(土)14:00-16:00
会場:だて歴史の杜カルチャーセンター 2階視聴覚室
(北海道伊達市松ヶ枝町34-1)
入場料:無料
主催:北海道博物館/伊達市噴火湾文化研究所
協力:洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会
プログラム
【挨拶・プロジェクトの概要説明】添田雄二(北海道博物館)
【発表1】青野友哉(伊達市噴火湾文化研究所)
・カムイタプコプ下遺跡2016の調査速報-作物痕の調査方法を中心に-
【発表2】渋谷綾子(国立歴史民俗博物館)
・デンプン粒から17世紀の畑作物の可能性を探る
【発表3】甲能直樹(国立科学博物館)
・気候変動と北方系哺乳類の移動-その精度と課題ー
【パネルディスカッション】
パネラー:青野・渋谷・甲能・添田
司会:柴田美幸