プロローグ

「地」を「知」につなげる

特集・後志の「知」と「地」が始まります。ニシン漁で栄えた日本海沿岸、羊蹄山麓の農業地帯、そして小樽。後志では地の記憶をまちの知につなげる活動も始まっています。木田金次郎をモデルにした有島武郎の『生れ出づる悩み』が出版されて百年。文学や絵画もまた、地があっての知です。

2018/10/31

緑の丘から、新しい景色が見える

「グロー○ル」をキーワードにした戦略で注目を集める小樽商科大学。○に入るカタカナ1文字とは? まさに、後志の「知」と「地」をつなげる研究に取り組む高野宏康さんに話を聞いた。

2018/10/31

地方史研究家が見た、感じた寿都の面白さとは

一人の気象庁職員が寿都測候所へ赴任し、このまちで暮らし始めた。野に山菜やキノコを求め、海や川で竿を振り、山を登り、スキーで降る生活を純粋に満喫していた。それが測候所の閉鎖を転機に、仕事以外の時間の9割を地方史の調査と執筆にあてる日々となった。それはナゼ?

2018/11/07

時間を超えて鰊場のにぎわいが流れる場所

積丹町は後志北部にドカンと突き出す積丹半島にある漁業のまち。札幌方面から海沿いに進んでいくと、最初に着くのが美国(びくに)地区だ。明治期から道内有数の鰊場として栄え、今も古い番屋や石蔵が残る。歴史を刻むこの場所に、新しい水がサラサラと流れ始めている。

2018/11/21

地を知る、創る、伝える。未来への種をまく

積丹半島の西側に位置する神恵内(かもえない)村は、アイヌ語の「カムイ・ナイ」からつけられた地名で「美しい神秘の沢」という意味がある。人口867人(2018年10月末現在)、北海道で2番目に人口の少ない村から、地域の魅力を発信し続ける人たちがいる。

2018/11/28

歌棄(うたすつ)から、寿都のまちを眺めてみれば

日本海側の後志のまちには、ニシン漁に関する建築物が多く残されていて、寿都町も例外ではない。特に歌棄(うたすつ)地区にある2軒は、それぞれ親方(漁場経営者)と商人という関係で、この関係性を持つ家がセットで残っている地域は他にはない。現在、両家は調査や復原が進められている。

2018/12/12

農業のやり方はひとつじゃない!

リーキ、アロマレッド、ビーツ、ベルギーエシャロット、セロリラブ…。真狩村に珍しい西洋野菜をつくる生産者がいると聞いて訪ねてみた。三野農園の三野伸治さん。真狩といえば、ゆり根やじゃがいもが特産品のはず。彼はなぜ西洋野菜を手掛けるようになったのか−−。

2018/12/26

サイドストーリー: 羊蹄山麓の昭和史

有島農場の誕生と終焉

後志の魅力は、海と山が近いことだ。つまりまったくちがう生活文化が密接に隣り合っている。そして江戸時代から和人の営みが濃密にあった海に比べて、いまに直結する内陸の歴史はずいぶん浅い。平成の終わりに、羊蹄山麓の昭和をあらためて歩いてみよう。

2018/12/05

地域の資源を耕したい

歴史の教科書で、戦後はいつも駆け足だった。その空白や足りない資料を埋めるのが地域の取り組みの蓄積だろう。ニセコの戦後やこれからを考えるとき、有島農場がもつ意味がおのずと立ち上がってくる。

2018/12/19

風土と交わる人が、新しい価値を生む

長く苦しい戦争の時代が終わったとき。人々は何を取り戻し、何を育もうとしていたのだろう。羊蹄山麓のひとりの町長が残した仕事と文章から、その土地に生きる意味と固有のふるまいが見えてくる。町長の名は、松実菱三といった。

2019/01/09

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