「札幌三井JPビルディング」は2024年8月に竣工から10年を迎えました。
遡るとこの場所は、北海道開拓使の敷地だった土地です。明治初期、開拓使の敷地は今の北海道庁よりもはるかに広大で、南北は現在の北1条通からJRの線路まで、東西は西4丁目から西7丁目にまで及んでいました。現在の北海道庁の敷地はその中心部分にあたります。
1958(昭和33)年、北2条西4丁目に「札幌三井ビルディング」が誕生し、1965(昭和40)年には本館南側に新館が増築され、翌年に本館が改装されました。当時は、北3条通を札幌市電苗穂線が東西に伸びていました。その後、「札幌三井ビルディング」は長く、北海道経済の拠点として機能することになります。
そして2014(平成27)年8月に札幌三井JPビルディング・通称「赤れんが テラス」が竣工します。合わせて北海道庁赤れんが庁舎前の広場として、札幌北3条広場・通称「アカプラ」が整備されました。この広場は、北海道と札幌の開拓にとって大きな意味を持つ北3条通の起点だった場所であり、道庁赤れんが庁舎を望む象徴的な風景を創り出す空間となりました。ここは札幌の舗装道路発祥の場所でもあり、その木塊レンガとイチョウ並木は平成23年土木遺産として認定されています。
アカプラでは四季折々のイベントが開催され、年間を通して人々が交流するスポットとなっています。
「赤れんが テラス」と「アカプラ」の賑わい創出を担当する三井不動産北海道支店事業グループの芦原弘明さんは「一貫したコンセプトは<エリアと共に“経年優化”するまちづくり>です。“経年優化”とは時間の経過とともに取り巻く環境になじみ、街の風景の一部となって、年月を経るたびに愛着が深まり、魅力が増していくという考え方です」と言います。
札幌、北海道の発展をリードするオフィス層、楽しく美味しい商業ゾーン、交流の広場であるアカプラで構成される施設としての「札幌三井JPビルディング」。そして施設を取り巻く赤れんが庁舎や北3条通、札幌駅前通など周辺の空間とビル群、それらが形成する景観。こうした要素を持つエリアを札幌市民・北海道民にとって、より魅力のある場にしていきたいとのこと。
「賑わいの創出という点でコロナによる停滞は大きなものがありました。しかし、今後の10年を見れば都心部の再開発も進んでいますし、新幹線の札幌延伸も控えています。エリアの経年優化は一企業や関係者だけで実現はできません。多くの方々と一緒に育てていきたいというのが当社の根本的な考え方です」(芦原さん)
「札幌三井JPビルディング」受賞歴
2015年 グッドデザイン賞(街区・地域開発)
2015年 都市景観大賞(都市空間部門 優秀賞)
2015年 平成26年度 照明普及賞
2016年 第57回 BCS賞特別賞
2016年 日本都市計画学会(計画設計賞)
2016年 第14回 環境・設備デザイン賞(環境デザイン部門優秀賞)
2016年 平成27年度 北海道赤レンガ建築賞
2017年 土木学会デザイン賞2016(優秀賞)